管理栄養士の相談ブログ
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食物アレルギー・栄養管理・スポーツ・慢性疲労 その他色々と食の相談を受けているある管理栄養士のブログです。
酢と健康…厳しい残暑を乗り切るために
2024.9.10
Q 夏バテ対策に、夏は酢を飲み物や調理に使うことが多いです。食欲増進以外にも酢の効果があると世間話で耳にしたことがあります。どのような効果があるのでしょうか。
また、色々な種類の酢が出ていて、酢によって口あたりが異なります。どのような違いなのかも知りたいです。
A
酢の効能は、酢酸の働きによるものです。近年の研究により、様々な酢の効果などが明らかになりましたので、簡単に紹介していきましょう。
◎酢の効果とは
(1)食欲増進
さわやかな酸味と香りが味覚や嗅覚に刺激し、脳の摂食中枢に働きかけて唾液を出し、食欲増進に繋げます。
また、胃液の分泌を促し、食べ物の消化吸収を助けます。以上のことから酢の物
は食事の最初にとることをお勧めします。
(2)疲労回復
体を動かすエネルギー源となるグリコーゲンが減ってくると疲れを感じやすくなります。糖分と一緒に酢を摂取することで、グリコーゲンの再補給が促進されます。※1
※1:Effect of acetate on glycogen replenishment in liver and skeletal muscles after exhaustive swimming in rats.」(Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 11:33-37 2001)
(3)カルシウムの吸収率アップ
酢は、カルシウムの吸収を助けます。カルシウム単独よりも、吸収率が上がります。
また、より効率的にカルシウムをとる方法として、魚や肉を酢で煮ることにより、カルシウム成分が溶け出し、煮汁と共に摂取することで効率よくカルシウムも摂取することができます。
(4)血糖値の上昇を抑える
糖の吸収を穏やかにさせ、血糖値の上昇を緩和させる作用があります。
(5)食中毒予防
食酢の主成分である酢酸は強い抗菌作用があり、酢漬け、酢の物など古くから食品を保存する方法の1つとして酢を利用してきました。酢を薄めたもの、酢に塩を加えたものは、殺菌作用があります。
(6)色を鮮やかにする
酢の酸性が野菜の色素をきれいに発色してくれる作用があり、美しく仕上がる効果があります。カリフラワーもそのまま茹でて、少し変色された方はいませんか。小匙2程度の酢を入れることで、変色の原因となるフラボノイドという色素が抑えられ、きれいな白色を保ちます。
酢の効果については他にもありますが、今回は一部を紹介しました。酢は、健康面、調理の上でも魔法のような調味料ですね。秋とは名ばかりで厳しい残暑が続いています。上手に活用して、元気に厳しい残暑を乗り越えましょう。
酢の製造方法と味の違いなど、酢についての詳しい説明は次のぺージで紹介します。
【酢の説明】
酢のコーナーに行くと数多くの酢が販売されていますね。原材料も異なり、何が違うのか疑問に思われた方も多いと思います。ここで簡単に整理しておきましょう。
まず、製造方法からみていきましょう。現在、日本で製造されている酢の主な発酵は、2つの製造方法があります。1つは、伝統的な製造方法である「表面発酵法」。もう1つは、近代的な大量生産が可能な「全面発酵法」があります。現在、日本で流通している大半の酢は、全面発酵法が多いといわれています。違いについては、下記の表でご確認ください。
食酢を伝統的製法で製造するには、JAS規格で定められた規定量の数倍の原材料と時間が必要になるため、割高になってしまうのが実情です。では、製法の違いを原材料で確認しやすいポイントを簡単に紹介します。
例)米酢:米と米以外の各穀物を40g以上
【伝統的製法】
原材料表示:米 (純米酢の場合は、米120g以上を使用)
【近代的(大量生産)製法】
原材料表示:米、アルコール
近代的な製法では、アルコールが原材料に書かれていることがほとんどだと思います。アルコールを加えることで、発酵時間の短縮、主原材料の使用料を抑えることでコストカットに繋がるため大量生産が可能になります。
また、調味料は多数の食品添加物やブトウ糖液糖が使用されているケースもあります。添加物による体調面で気になる際は原材料をよく確認してから購入するようにしましょう。
製造方法や原材料にこだわることで、味や風味が異なってきます。酢を購入される際の参考にしてみてください。
なお、弊社で販売している純米酢は無農薬の米を使用した伝統製法の酢をご用意しております。